失われゆく
映像遺産を未来に

「展示映像」の散逸を防ぎ、
将来にむけた
保存と貴重な映像資料の
社会還元をめざす

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    2017年アスタナ国際博覧会・UAE館

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    2017年アスタナ国際博覧会・アメリカ館

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    2015年ミラノ国際博覧会・日本館

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    2008年サラゴサ国際博覧会・Galicia

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    2015年第44回東京モーターショー

私たちについて About Us

国内初:特殊仕様のイベント映像を
記録・保存する
展示映像総合アーカイブセンターを福岡に開設しました

センター概要

展示映像とは博覧会や展示会、コンサート等のイベントや博物館、テーマパーク等のために制作・上映された特殊な映像の総称です。展示映像の多くは上映期間が終了しても保存されることがほとんどなく、いつしか破棄されたり散逸してしまうという現状にあります。時代の最先端の映像であり最高のスタッフと技術をもってつくられた希少映像を将来に向けて残すために、2021年4月1日、わが国で初となる展示映像総合アーカイブセンターを福岡でスタートさせました。

展示映像イメージ

1.設立の背景と目的

映画は発明された初期のものから今日のデジタル作品まで世界中で保存されています。日本でも国立映画アーカイブ等に永年にわたって残されています。しかし博覧会や博物館、各種イベント等のために制作された展示映像は上映終了後に保存されることはほとんどなく、周辺資料についてもその存在の有無はほとんどわかっていません。撮影や上映の関連機材もすでに多くが廃棄されており歴史資料自体が消滅しつつあります。これらを将来の制作者や研究者のために記録・保存することが本アーカイブセンターの目的です。

2.センターの活動内容

本センターの前身は、2009年から九州大学芸術工学研究院ですすめていた「展示映像総合アーカイブプロジェクト 」です。すでに多くの制作会社や研究者の協力を得て展示映像のフィルム、デジタルデータ等が集まっています。これを引き継ぎ、展示映像に関する調査、作品データや資料の収集、保存、権利関係の整理、修復、デジタル化等をおこない、可能な範囲で再現あるいは疑似的な視聴ができるよう残していきます。
別項記載は現在までに保存している作品の一部です。展示映像の保存は困難とされるなかにあって、すでに複数の作品はデジタル化され、再現可能な状態にあります。センターはこのプロジェクトの推進母体です。

展示映像イメージ
フィルム保存状況の調査

3.本組織の活動意義

映画は世界標準となる技術仕様があります。それはフィルムの時代から今日のデジタルに移行しても同様 です。しかしながら展示映像は多くが特別仕様の「一点もの」であるため作品ごとに上映システムが異なっています。さらに上映空間、特殊音響、スクリーンの形状やモニターの数、照明効果、ライブの演奏とのコラボなどで構成されることもあり保存の制約が非常に多い映像です。
したがって映像・音響のコンテンツだけでなくこれらの「周辺情報」も含めて、総合的な映像コンテンツとして残す必要があるのです。本センターの資料は過去の展示映像をひも解くことのできる国内で唯一のアーカイブとなるでしょう。現在、作品の一部は東京や大阪に散在しています。周知の大災害を想定したときにこの福岡で作品の複製あるいはデジタルデータ等を保存することは、映像遺産の消滅を回避する危機管理の上からも意味があることと考えます。

フィルム保存状況の調査

4.今後の展開

展示映像の廃棄と散逸を一刻もはやく防ぐために、可能な限り収集することが喫緊の課題です。また今後も展示映像作品の制作は継続されると考えられますが、記録や保存の指針を策定し、映像制作会社やイベント主催者への協力要請を行っていきます。同時代の最高の技術、表現、スタッフを擁した特殊映像が制作された事実を将来に向けて残し続ける意義を多くの関係者と共有していきます。

代表挨拶 Message

代表理事 脇山真治
代表理事
 脇山真治

一般社団法人展示映像総合アーカイブセンターは、イベントや商業施設、文化施設等のために制作された映像および関連資料を記録・保存し、後年の制作者や研究者の活用に資することを目的にアーカイブする組織です。当センターは2009年に九州大学芸術工学部でスタートした展示映像総合アーカイブプロジェクトを引き継ぎ、さらに活動を積極的に推進するために立ち上げました。

映画は世界中にアーカイブが存在し、作品の収集や保存方法が確立しています。フィルム時代から今日のデジタル作品まで、あるいは劇場映画から産業・教育映画までがアーカイブされています。一方で展示映像は、そもそもアーカイブする発想がなく、組織的な収集はおろか、作品の保存・廃棄・散逸などの状況すら把握されていません。これは「一過性映像」の宿命かもしれません。しかしながら同時代の最高の制作技術、スタッフ、表現手法などを投入した映像と関連情報が残されないと後年の作品検証、作品分析、論考などはできず、展示映像制作における新発想へのヒントや基礎資料となることもないのです。

展示映像の確たる定義はありません。その意味ではアーカイブの対象は広範囲にわたります。従前の博覧会映像のみならずプロジェクションマッピング、コンサートの背景映像、VR映像、野球場の大型ビジョン映像なども含まれます。仕様が多岐にわたることもアーカイブの障壁になっています。

展示映像のアーカイブは世界的にも前例がありません。もちろん国内初です。課題山積ですが貴重な展示映像を手遅れになる前に、一つでも多く保存することをめざします。私どもの活動の主旨をご理解いただき、ひろくご支援をいただきますよう、お願い申し上げます。

活動実績 Archives

一社)展示映像総合アーカイブセンターと九州大学芸術工学部で保存中の展示映像の一部を紹介します。

日本と日本人
大阪万国博覧会(1970年)日本館で上映した8面マルチ映像。2013年6月に東京都内にてフィルム原版を発見。
いまだ音声は見つからず。8面合成版を保存。フィルム原版は東宝が管理。
鉄と稲
つくば科学万博(1985年)歴史館上映作品。スライド原版ならびに上映プリントの大半、大型映像(70mm8p)の縮小版35mm、上映記録映像、上映記録写真等。
マリンフラワーズ
沖縄国際海洋博覧会(1975年)松下館上映の3面マルチ映像。関連出版物。原版は東京シネマ新社にて保存。
未来への挑戦~渋沢栄一物語~
さいたま博覧会(1988年)渋沢栄一館にて上映。フィルム原版は存在せず。VHSへのテレシネ版からデジタル化で保存。
新しい北海道
1992年制作。北海道開拓記念館(現北海道博物館)のエピローグホールにて上映。6面マルチ映像。オリジナルLDは北海道博物館にて保存。
時の回廊への誘い
山口きらら博覧会(2001年)山口市館にて上映の3面マルチ映像。オリジナルビデオは存在せず。
左門と一緒に
千歳サケのふるさと館(現千歳水族館)にて上映の3面マルチ映像。フィルム原版は未確認。
JL002東京~サンフランシスコ
科学技術館(1976年頃)での上映作品。360度全周映画「サーキノ」。フィルム原版は国立映画アーカイブにて保存。
日本・人と自然
スポーケン国際博覧会(1974年)日本政府出展館の3面マルチ映像。16mmフィルムからテレシネによるデジタル版。
MANDARA
(株)イエローツーカンパニーによる自主製作作品(1998年)
時空を超えて
~石炭エネルギーの旅~
大牟田市石炭産業科学館が1995年に開館した当時のマルチスライド作品(デジタル編集版)。
スライド原版は科学館にて保存。

合成版保存

  • 『波とうを越えて』3面マルチ映像、海上自衛隊佐世保史料館
  • 『TOKIを探せ〜新潟ふれあいのたび〜』8面マルチ映像、新潟ふるさと村
  • 『さいふまつり』3面マルチ映像、太宰府天満宮展示館
  • 『近畿の森』5面マルチ映像、大阪花の万博いちょう館
  • 『Canadian Rockies〜Dream
  • Festival〜』3面マルチ映像、松下電器産業創立70年記念
  • 『流〜STREAM〜』
  • 3面マルチ映像、ルイジアナ国際河川博覧会(1882)日本館
  • その他

スプリットスクリーン作品

  • 『Multiple Man』カナダ国立映画庁(1969)
  • 『View From ThePeople Wall』 New York World's Fair1965
  • 『In the Labyrinth』カナダ国立映画庁(1967)
  • 『House of Science』 C&R.Eames(1962)
  • 『Goods』 C&R.Eames(1981)
  • その他

メンバー紹介 Member

代表理事

脇山 真治 (わきやま しんじ)
九州大学名誉教授
マルチ映像研究スタジオわきすた代表
マルチ映像研究スタジオわきすた

理事

森山 豊 (もりやま ゆたか)
株式会社プロジェクトワークス
代表取締役社長
株式会社プロジェクトワークス

理事

堺 彰浩 (さかい あきひろ)
サービスパーク代表

学術支援・テクニカルサポーター

石井 達郎 (いしい たつろう)
九州大学 大学院芸術工学研究院
准教授・博士(芸術工学)
九州大学 研究者情報

協力者紹介 Supporter

展示映像総合アーカイブプロジェクトがスタートした当初より、資料提供、情報提供、修復作業等の支援、助言など、さまざまな形でご協力いただいている方々です。

企業等

企業名(あいうえお順)
イエローツーカンパニー
イーズワークス
イマジカ
映像センター
HBCフレックス(旧北海道放送映画)
エムツー(M2)
関西電力
五藤光学研究所
崑プロ
産経映画社
CN インターボイス
新協社
電通ライブ
東京シネマ新社
東宝映像美術
東宝
ナックイメージテクノロジー
西日本シネ用品
バンリ
ビデオステーションキュー(VSQ)
プロジェクトワークス
ほか

博物館・団体等

博物館・団体名 (あいうえお順)
阿蘇火山博物館
日本万国博覧会記念公園事務所
海上自衛隊佐世保史料館
科学技術館
九州大学芸術工学研究院
記録映画保存センター
国立映画アーカイブ
国立映画アーカイブ相模原別館
国立科学博物館
渋沢史料館
大牟田市石炭産業科学館
太宰府天満宮
千歳水族館(旧千歳さけのふるさと館)
つくばエキスポセンター
福岡市科学館
福岡市総合図書館
北海道博物館(旧北海道開拓記念館)
(日本万国博覧会記念機構)
ほか

個人

氏名(あいうえお順) 所属
荒木泰晴 バンリ代表/大型映像プロデューサー
石井達郎 九州大学芸術工学研究院准教授
大口孝之 映像ジャーナリスト
小野雅史 コスモスペース・映像プロデューサー
尾本章 九州大学芸術工学研究院教授
萱野孝幸 映画監督/映像作家
小島太郎 ドリームスタジオ取締役
堺彰浩 サービスパーク
坂口康 映画監督
角田拓眞 映像ディレクター
瀬川徹夫 録音技術者
善方隆 映像文化製作者連盟
高木創 東京テレビセンター
竹藤佳世 城西国際大学メディア学部准教授
田邊アツシ 映画監督/映像作家
とちぎあきら フィルムアーキビスト
福井正紀 マルチ映像作家
松尾悟 ナック・シニアフェロー
宮崎智晴 WEBデザイナー
山田英徳 元科学技術館副館長
山本純ノ介 千葉大学教授/作曲家
(故人)川北紘一 東宝特技監督
(故人)河手深 システムエンジニア
(故人)牛窪正 映像システムプランナー
(故人)山岸達児 映画監督

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電子メール
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