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私たちについて

About US

国内初 特殊仕様のイベント映像を
記録・保存する
展示映像総合アーカイブセンターを
福岡に開設しました

センター概要

展示映像とは博覧会や展示会、コンサート等のイベントや博物館、テーマパーク等のために制作・上映された特殊な映像の総称です。展示映像の多くは上映期間が終了しても保存されることがほとんどなく、いつしか破棄されたり散逸してしまうという現状にあります。時代の最先端の映像であり最高のスタッフと技術をもってつくられた希少映像を将来に向けて残すために、2021年4月1日、わが国で初となる展示映像総合アーカイブセンターを福岡でスタートさせました。

設立の背景と目的

映画は発明された初期のものから今日のデジタル作品まで世界中で保存されています。日本でも国立映画アーカイブ等に永年にわたって収集・保存がなされています。しかし博覧会や博物館、各種イベント等のために制作された展示映像は上映終了後に適切に保存されることはなく、関連する資料についてもその存在の有無はほとんどわかっていません。撮影や上映の機材、独自開発した音響機器もすでに多くが廃棄されており、貴重な歴史資料自体が消滅しつつあります。

これらを将来の制作者や研究者が参照、検証できるように、また映像史の一端を担った貴重な事例を検索し何らかの形で視聴できるよう、収集、記録し保存することが本アーカイブセンターの目的です。

センターの活動内容

当センターの前身は、2009年から九州大学芸術工学研究院で進めていた「展示映像総合アーカイブプロジェクト 」です。すでに多くの制作会社やクリエーター、研究者の協力を得て展示映像のフィルム、デジタルデータ等が集まっています。これを引き継ぎ、展示映像に関する調査、作品データや資料の収集、保存、権利関係の整理、修復、デジタル化等をおこない、可能な範囲で、再現あるいは疑似的な視聴ができるよう残していきます。 別項記載は現在までに収集している作品の一部です。展示映像は特殊な仕様のため保存は困難とされるなかにあって、すでに複数の作品はデジタル化され、再現可能な状態にあります。一社)展示映像総合アーカイブセンターはこのプロジェクトの推進母体です。

展示映像例
左上:1985年 科学万博歴史館、右上:1988年 さいたま博渋沢栄一館、下:1994年 三重まつり博テーマ館

展示映像をアーカイブする意義

展示映像は多岐にわたる仕様があるため、アーカイブするのは非常に困難を伴います。それでもアーカイブすることの意義は、文化的、社会的、歴史的、技術的あるいは学術的な観点から重要であると考えます。

展示映像は映画の発明の時期を追うように登場しました。時代のメッセージや社会の価値観を反映した文化遺産であり、これを残すことにより制作された同時代の未来志向や感性や挑戦的な表現の証を後世に伝えることができます。たとえば1970年大阪万博の映像は、高度成長期の社会の勢いや、世界の万博映像からの影響、デザインや映像表現の潮流などを包括しており、今日の視点から歴史検証ができる貴重な資料となるのです。

また展示映像アーカイブは映像を取りまく関連技術の記録としての価値を集約しています。つまり撮影・作画技術にはじまり音響、照明、上映技術、制御技術、特殊効果、これらを上演する空間デザインや造作手法など、時々の先端的な技術の集大成でもあり、これを保存することで後年に新たな創造活動に活かすことができるでしょう。たとえばプロジェクションマッピング、ライブショーや演劇との融合などは一過性のイベント映像とはいえ、制作技術と表現手法の多様性を伝えるためにもアーカイブは不可欠と考えます。

さらに展示映像はエンタテインメントの提供に留まらず、教育や研究の対象でもあるのです。過去の作品や資料を残すことで、映像学、デザイン学、芸術工学、展示学、エンタテインメント学など広域の関連学問の発展に寄与し、作品分析や批評や史的考察を生み出す基盤になるでしょう。今日、「展示映像学」が存在せず研究者がほとんどいないのは、関連する資料のアーカイブがこれまでになされず、分析や批判の材料がほとんど残されてこなかったことに起因しています。

このようなことから展示映像のアーカイブは、文化の継承にとどまらず、映像を取りまく関連技術の発展、学術研究の推進にとって不可欠な役割を果たすことが期待されるのです。

映画は世界中で保存が進められています。一方で展示映像はアーカイブとは無縁の映像でした。私たちは「展示映像」に特化したアーカイブ活動をすすめている、国内唯一の組織です。これまでに制作された展示映像の多くは、所在や保存状態が不明のまま全国に散在していると考えられます。不本意な廃棄、放置、あるいは災害による散逸や損傷などを考えたとき、この福岡の当センターで作品や関連する資料を保存することは、映像遺産の消滅を回避する危機管理の上からも意味があることと考えます。

今後の展開

2024年10月一社)展示映像総合アーカイブセンターは、九州大学大学院芸術工学研究院と連携協定を締結しました。これによって、展示映像の調査、収集、保存、再現上映、教育研究への活用等、名実ともに総合的なアーカイブ活動を、安定的にかつ永続的に推進する体制が整いました。展示映像は同時代の最高の技術、表現、スタッフを擁した特殊映像です。私たちは国立映画アーカイブ「的」なセンター設立を遠望しながら、展示映像が制作された事実を将来に向けて残し続ける意義を、多くの方々と共有していきます。

展示映像アーカイブ全体像

展示画増アーカイブ全体図
※記載の企業や団体等はすでに資料の収集や保存活動に協力いただいています。

代表挨拶

代表理事 脇山真治近影
代表理事 脇山真治
代表理事 脇山真治近影
代表理事 脇山真治

一般社団法人展示映像総合アーカイブセンターは、イベントや商業施設、文化施設等のために制作された映像および関連資料を記録・保存し、後年の制作者や研究者の活用に資することを目的にアーカイブする組織です。当センターは2009年に九州大学芸術工学部でスタートした展示映像総合アーカイブプロジェクトを引き継ぎ、さらに活動を積極的に推進するために立ち上げました。

映画は世界中にアーカイブが存在し、作品の収集や保存方法が確立しています。フィルム時代から今日のデジタル作品まで、あるいは劇場映画から産業・教育映画までがアーカイブされています。一方で展示映像は、そもそもアーカイブする発想がなく、組織的な収集はおろか、作品の保存・廃棄・散逸などの状況すら把握されていません。これは「一過性映像」の宿命かもしれません。しかしながら同時代の最高の制作技術、スタッフ、表現手法などを投入した映像と関連情報が残されないと後年の作品検証、作品分析、論考などはできず、展示映像制作における新発想へのヒントや基礎資料となることもないのです。

展示映像の確たる定義はありません。その意味ではアーカイブの対象は広範囲にわたります。従前の博覧会映像のみならずプロジェクションマッピング、コンサートの背景映像、VR映像、野球場の大型ビジョン映像なども含まれます。仕様が多岐にわたることもアーカイブの障壁になっています。

展示映像のアーカイブは世界的にも前例がありません。もちろん国内初です。課題山積ですが貴重な展示映像を手遅れになる前に、一つでも多く保存することをめざします。私どもの活動の主旨をご理解いただき、ひろくご支援をいただきますよう、お願い申し上げます。

メンバー紹介

代表理事 脇山 真治 (わきやま しんじ)
九州大学名誉教授
マルチ映像研究スタジオわきすた代表
マルチ映像研究スタジオわきすた
理事 森山 豊 (もりやま ゆたか)
株式会社プロジェクトワークス
代表取締役社長
株式会社プロジェクトワークス
理事 堺 彰浩 (さかい あきひろ)
サービスパーク代表
学術支援・教育研究アドバイザー 金 大雄 (きむ でうん)
九州大学 大学院芸術工学研究院
教授・博士(芸術工学)
九州大学 研究者情報
学術支援・テクニカルサポーター 石井 達郎 (いしい たつろう)
九州大学 大学院芸術工学研究院
准教授・博士(芸術工学)
九州大学 研究者情報